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大分県 事業承継・引継ぎ支援事例
当センターにて支援した事業者様の事業承継・引継ぎ事例を紹介しています

大分市三川下1丁目6-28-104 tel.097-558-3166

株式会社おきおか
取引件数横ばい、売上半減というコロナ禍の逆境にあえて立ち向かい、50年来の専門店のノウハウをベース布団レンタルの新システムを開発。
「きれいな布団で眠ることができた」「ありがとう」の言葉を糧に、徹底した”抗菌” ”安心”で顧客増を狙っていく。
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新商品開発と広告戦略で販路を広げ、
コロナ禍を生き抜く体力を強化したい。

代表取締役/高原秀喜さん

企業概要
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創業から50年以上続く、ふとんレンタル専門店。承継後、新たな戦略として清潔さにこだわった「置き布団」システムを開発し、コロナ禍においてさらなる顧客数獲得と売上高増に意欲を燃やす。

承継年表

2020年センター登録、2022年事業引継ぎ
▼2020年11月 大分県事業承継・引継ぎ支援センターに登録。
▼2020年12月~ 譲渡条件の検討、ノンネームにて候補先探しを開始。
▼2021年1月~10月 候補先数社とマッチングを支援。
▼2021年10月 高原氏が譲渡先候補となり、当センターにて不動産鑑定、譲渡条件の見直し等を支援。
▼2021年12月~ 基本合意契約書を締結後、譲渡条件の詳細を調整。
▼2022年2月 株式譲渡契約を締結(当センターにて支援)。
▼2022年3月 株式譲渡完了。

承継を決意したきっかけは「ありがとう」の言葉

 「お客さんから直接、感謝の言葉をかけてもらえる。すごく素敵な仕事だと思いました」。
 高原秀喜さん(51歳)が事業承継を決意したのは2021年の秋頃。前代表取締役の岡澤勇樹さんとは20年来のゴルフ仲間で、ある時、本人の口から「事業譲渡を検討している」と聞かされた時だった。
 初代から約50年続く布団レンタル専門店『おきおか』は、岡澤さんが引き継いでからも大分市内を中心に企業やイベント、冠婚葬祭、学生の合宿等を取引先として安定的に事業を展開していた。しかし、コロナ禍においてイベントはもちろん、企業研修や合宿などは軒並み中止となり、顧客数は変わらずとも年間売上高は半減という厳しい状況に。高原さんが事業承継を決意して会社を早期退職したのも、そんな状況下でのことだった。岡澤さんとしても、同業他社をはじめ数社と面談を行っていたが条件が折り合わず、数ヶ月経っても譲渡先は決まらずに焦り始めていた頃、「自分が引き継ぐ」と申し出てくれた高原さんに事業を託すことを決めた。
 「チャレンジをするなら体力のある今だ、という思いもありました」と高原さん。妻の淑美さん(51歳)は「子どもが成人して手がかからなくなり、これからはゆっくりと過ごせるのかなって思っていたから、打ち明けられたときは不安もありました」と言いつつも、「頑張り屋な人だから、きっと大丈夫です」と、太鼓判を押す。
 条件の歩み寄りを行ったのち株式譲渡契約を無事に交わし、2022年4月、新しい『おきおか』が始動した。

コロナ禍の今だからこそ可能性が広がっている

「売り上げの落ち込みを挽回するにはどうすればよいのか」。
 高原さんが可能性を見出したのは、「消毒」「清潔」「接触回避」の言葉が当たり前となったコロナ禍だからこその戦略。アイデアで生まれた商品「置き布団」だ。
 従来は布団の種類ごとにまとめて取引先に納入していたが、「置き布団」の最大の違いは、個包装であるということ。クリーニング済みのシーツと掃除機をかけて次亜塩素酸ナトリウム液を噴霧した”抗菌仕様”の布団一式を一人分ずつ、消毒済みの袋にセット。すぐに使う分と倉庫にストックしておく分を納入し、回収と補充の際も倉庫内での作業で完結する、というシステムだ。
 「私一人で作業ができ、先方との接触はほとんどありません。まさに、コロナ禍に求められていることだと思い、取引先に営業をかけると想像以上に好評でした」。
 初めての納入で一度に60セットの注文がくるなど、出だしは順調。企業や冠婚葬祭のほか、帰省シーズンには一般家庭からの注文も見込める。「きれいな布団で清潔に眠ることができました」と声をかけられるたびに、「この選択は間違っていなかった」と、喜びを噛みしめる高原さん夫妻。今後はホームページやチラシ作成など広告宣伝を強化する予定。一般客を中心に顧客数をのばし、「雇用できる体制を整えたい」と事業拡大に意欲を燃やす。

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抗菌した布団とシーツを1人分ずつ、抗菌袋にセットした「置き布団」。人との接触を極力減らすために考案した。

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注文が入ると清潔に保管していたふとんを要望通りにセット。倉庫内の作業のため、繁忙期の夏場は体力勝負だ。

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回収してすべての布団に次亜塩素酸ナトリウム液を噴霧して消毒を施すのは、承継後に新たに始めた仕事内容の一つ。

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倉庫から至近の場所に借りた事務所で、顧客データや注文状況を管理。

具体的な実務や承継スキームの他、各種必要書類の準備等を支援

父の代から50余年続く事業を受け継いだ岡澤勇樹さん(51歳)は、後継者不在で第三者への事業譲渡を検討。当初はセンターからの紹介で面談を重ねたがマッチングがうまくいかず、その後、高原さんに相談したところ今回の事業承継の話になった。「譲渡契約の際には、専門的な知識をもつ専門家が間に入ることが必要」とアドバイスし、センター主導で準備等の支援を開始。メインバンクに対しても事業承継に係る協力を要請し、スムーズに事業承継できた。

金融機関との連携を密にし、合意後の協力関係も築いた

ノンネーム情報に掲載して譲受希望登録者を通じて面談を重ねたが、コロナ禍の影響もあり売上高が減少していたことから希望通りの譲渡条件ではマッチングできなかった。センターは譲渡条件の見直し等の助言を行い、承継者と被承継者それぞれの希望や条件の合意に至るまで粘り強く調整を行った。加えてメインバンクとの連携を密にして事業譲渡成約後の協力についても取り付けた。

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